2017/05/28
『兵士は戦場で何を見たのか』と『帰還兵はなぜ自殺するのか』……イラク戦争帰還兵の実情を描いた2冊の本!

現在の戦場の実情?
①『兵士は戦場で何を見たのか(原題:THE GOOD SOLDIRES)』と
②『帰還兵はなぜ自殺するのか(原題:THANK YOU FOR YOUR SERVICE)』です。
それぞれの主な内容
①は2007年~2008年のブッシュ政権の頃の
イラクにアメリカ兵を派遣した時の1つの陸軍大隊(レンジャー部隊)を取材したもので
②はその後の帰還兵を描いた続編となっています。
戦争によって身体的には外傷はなく無傷であったとしても
PTSDによる睡眠障害、ストレス障害に苦しむなど
イラク戦争帰還兵の自殺についての深刻な社会問題について書かれています。
日本での発売は逆だったため、発売順で先に②を読んでしまったのですが
もしこれからこの2冊に興味を持って読んでみようという方は
ぜひ①→②という流れで読んだ方が良いかと思います。
「イマージョン・ジャーナリズム」
ちなみにどちらの本も「イマージョン・ジャーナリズム」という手法で描かれています。
それは取材する者がそこにいるのに、一人称を使わず、小説のように描く書き方です。
人物や風景が鮮やかに描かれているので、リアリティがあり、
あたかも自分自身がその場にいるような感情移入できる作りとなっています。
★邦題がとても素晴らしいです。
『THE GOOD SOLDIRES』は「よい兵士、善良な兵士、立派な兵士」
『THANK YOU FOR YOUR SERVICE』は「祖国へのご奉仕に感謝する」
という意味ですが、さすがにそのまま直訳されたタイトルでは
中身が推測できず、まず買うことはなかったです。
しかし『兵士は戦場で何を見たのか』と『帰還兵はなぜ自殺するのか』は
インパクトがありすぎて、読んでみたい!とすぐに思いました。
さすがプロの翻訳者の素晴らしい仕事だなって思います。
やはり本のタイトルはその本を選ぶ際のとても大きな要因となりますね。
★印象に残った部分
1.
『彼らはなんでも請け合い、何も果たさず、すべてを求め、いつも不満をこぼした。』
※アメリカ軍が介入しても自分たちの生活水準は向上しないと不満をこぼすが
自分たちでは何も良くしようと働きかけないイラク人指導者たちに対して。
「戦争」や「政治」に限らず、不満や否定的な意見ばかり言う人に限って
自分のことは棚に上げて、行動すらしない人が多いですよね。
2.
『第十六歩兵連隊第二大隊(アメリカ軍のレンジャーズ)が大人のための読み書き教室を開こうとしていた学校は、
(イラクの反乱軍によって)いまではカマリヤの前哨基地を攻撃するための武器庫になっていた。』
(ニュー・バグダットの識字率は50%)
『ニュー・バグダットに作られたスイミング・プールは、
いまその中にあるのは水ではなく、車に爆弾を積んでやってきた二十人の武装した男たちだった。』
※アメリカ軍がイラク人の生活を向上させるために
いくらインフラを整備しても、イラクの反乱軍が「生活」を「戦争」へと変えてしまう。
3.
選び抜かれた三十人の兵士の中から
更にその月の最優秀兵士を選ぶコンテストにて
決して利口ではない兵士が四位に選ばれて頭の中に浮かんだこと……
『ハーレルソンが燃えていた。(※1)
イラク人の頭に開いた穴から血が流れていた。(※2)
幼い女の子が彼を見つめていた。(※3)
そしてこのスライド・ショーに新しい映像が加わった。(※4)
いまこの瞬間兵士でいて、人生で一番幸せに感じている自分の姿だ。』(※5)
※1.爆弾によって目の前で戦死した仲間のアメリカ人兵士
※2.爆発物を仕掛けたイラク人の頭部を撃って射殺した瞬間。
※3.イラク人の幼い少女が見ている中、武装したイラク人兵士を射殺した。
※4.記憶の中のスライド・ショー
※5.こんな悲惨な状況の中でも些細な事に幸せを感じ(優勝ではなく四位という結果についても)
自分が兵士であることを誇りに思わなければ自分を見失う。
多くの兵士が自分を見失い鬱に陥り自殺をしている現状がある。
「綺麗ごと」のない「戦争の実情」
どちらも「綺麗ごと」を抜きにした「戦争の実情」を描いた作品です。
無理やり感動させようと大げさに作った戦争映画を観るよりも
遥かに興味深く色々と考えさせられる本でした。
お勧めです。
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